まつばや氏の世界

抗え、最後まで

悪魔の子 


地球に住む人間達の時間でいうと、現在は秋のようだ。微かに、肌寒いが、このぐらいが一番ちょうどいい。

 

そんな時期に、僕は突然発現した。影のように、それは突然現れ、付きまとう。

 

今回の僕は、灰色の球体のような姿見をしていて、プカプカと宙に浮かんでいる。

 

僕は、観測者と呼ばれている。過去に発現したときに人間がそう呼んでいたのだか、自分でも正直良く分かっていない。

 

僕という存在は、空気のように、どこにでも存在していてやはり突然現れる。それが観測者という生き物である。これも、最近分かってきた事で自分でも自分の正体は分からないのが、現状である。

 

自分の中にある使命感のような、義務感のような衝動のまま僕は、自分の役割をまっとうするだけだ。

 

観測者の仕事は、ただ観測すること。それ以上に何かするわけでもない、それでも僕が現れたということには必ず意味があるようだった。

 

その時々によって、僕が発現したことによる影響はまちまちであるので、全てが不安定で、先が読めない。自分でも歯痒い感じだ。

 

「ぐぅ……ぐぅ……」

 

足元から、イビキが響き渡り狭い部屋に一定のリズムでこだましていた。

 

足元で眠るこの男こそ、おそらく今回の観測対象である。

 

外見や寝姿を見る限りでは、どこにでもいる少年。年は、15位だろうか。